2022年1月15日の日本時間で13時10分頃、南太平洋にあるトンガ諸島の「フンガ・トンガ―フンガ・ハアパイ火山」という海底火山で大規模な噴火がありました。
今のところ、噴煙が最大2万メートル(20キロ)近くまで上がり、半径300キロに及んだとされます。
海底にて超大規模な水蒸気爆発が発生したような印象です。
トンガの火山噴火規模がよくわかる映像・動画は下記になります。
「トンガで大規模噴火」と聞いてもピンと来ない方はこちらをご覧ください。関東と比べてみると、凄まじい規模の噴火だったことが分かります。正確な規模はまだ判明していませんが、富士山で想定されている噴火や、桜島で日常的に起きている噴火とは比べ物にならないくらい大規模です。 pic.twitter.com/Xt4ZwhDCIX
— 人が死なない防災 (@bosai_311) January 15, 2022
噴火に伴うものと考えられる地震も観測されました。
ただし、地震の深さは不明。マグニチュードは不明となっています。
よって、地震による津波があるかどうか?も含めて、予測は不可能と言えます。
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実際に発生した海面・潮位の変化ですが、トンガでは1.4m程度とされます。
ところが、遠く離れた日本でも最大1.2m程度(奄美)で観測しました。
アメリカのカリフォルニア州ポートサンルイスでは124cm>
アラスカ州で最大85cm。
ハワイのマウイ島で83cm。
ガラパゴス諸島で50cm。
いずれも地震による津波でない事をご確認申し上げます。
海には波がありますが、波も発生原因によって呼び方があります。
海域で吹いている風によって生じる波(高波やうねり)は「波浪」(はろう)と言います。
強風や気圧低下によって海水面が異常に高まり、高波を伴って陸地に押し上げることは「高潮」(たかしお)と言います。
大規模な地震によって震源に近い海底に上下方向のずれ(断層)が現れることで生じる海水面の盛り上がりや落ち込みによって起こる波は「津波」です。
今回の潮位の変化に関しては、地震が要因ではないため津波とは言いにくいところがあります。
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当初、気象庁は「若干の海面変動」があると想定しました。
日本から8000キロ離れていることもあり、その影響が出始めるのは、小笠原諸島の父島(東京都小笠原村)で22時30分頃としていました。
しかし、太平洋側の各地で潮位変化が観測され始めたのは、予想より2時間半ほど早い20時頃からだったのです。
その20時頃、日本近海で何が起こっていたのか?
ひとつ気になるデータは下記の動画になります。
2022年1月15日の夜20時~21時ころにかけて、日本で観測された「気圧」の変動です。
普通、気圧は少しずつ変化します。
しかし、上記の動画でもわかるように、急に高くなったと思うと、また元の気圧に戻ったことがわかります。
しかも、放射状に南から北へと抜けて行ったことも上記の動画だとよくわかります。
我が家が設置している観測機器の気圧計データでも、同じように観測されていました。
大気中の気圧が上がると、抑える力が増しますので、海面は下がります。
概ねですが、私の観測データからですと、1004ヘクトパスカルだったところが、突然1006ヘクトパスカルに上昇し、そのあともとに戻りました。
この場合、潮位は約2cm下がったと考えられ、その反動で潮位が多少上がり、潮位に変動が生じたとも言えるでしょう。
ただ、私の場合、海岸線から30km内陸ですので、実際の海上での気圧変化が、どのように波になったのか?は不明です。
この急激な気圧の変動は、衝撃波と推測できます。
気圧変化と言うよりは、大爆発した「衝撃波」(空振)によって海面の潮位変化が生じる原因になったとも考えられます。
今回の噴火での衝撃波はどんなものだったのか?
下記のツイッターにある動画を再生すると、そのすさまじさがよく分かります。
突然、大きな音が発生致しますので、イヤホンなどの方は音量を下げてから再生願います。
東京と札幌の距離と同じ、トンガから800kmも離れたフィジーでの映像と衝撃音・衝撃波です。
#BREAKING: New Footage shows a Extremely powerful Sonic Boom from the volcano
Incredible Footage of Hunga Tonga volcano that Produced a Extremely large eruption as it generated powerful Sonic booms that Traveled as far as 470 miles of the fiji islands pic.twitter.com/irMDMesz5Z
— R A W S A L E R T S (@rawsalerts) January 15, 2022
トンガではもっとスゴイ音がしたことでしょう。
気象庁もいい加減な事は言えませんので、執筆時点では潮位にこれだけ変化が生じた原因はわくわからないとしています。
そして、潮位の変化が大きいことを防災上伝えるため、他に適切なシステムがないため、地震にて発動する「津波注意報」「津波警報」を使わせてもらったと言う表現を行っています。
よって、報道では「津波」としてニュースとなりますが、実際には津波と言う事ではなく「火山噴火が影響していると考えられる原因不明の潮位の大きな変化」「大規模噴火に伴う潮位変化」と言えるでしょう。
なお、この急激な気圧変動は、我々動物や自然に対して何か悪影響を及ぼすような事はない模様です。
ただし、どれだけの噴煙が大気に噴出したか?が、気になります。
1991年、フィリピン・ピナトゥボ火山の噴火(VEI=6)では、噴煙などの噴出物が成層圏に大量に放出され、太陽の光が遮られたことで世界的に気温が下がり、2年後の1993年に、日本は凶作となってタイからコメを緊急輸入もしました。
噴火の規模が極めて大きいため、執筆時点ではトンガは大規模停電となってたいるようで電話も繋がりにくく、インターネット回線も途絶えていると考えられ被害状況も大変気になります。
トンガ王国の首都・ヌクアロファの標高は概ね海抜3m程度です。
最新情報によると、首都は火山灰に覆われており、海底ケーブルが影響を受けていて通信障害が発生しているとのこと。
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トンガは親日国としても知られます。
些少ですが募金もさせて頂きました。
一日も早い復興を祈るばかりです。
ちなみに、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で、2020年8月にできた新島は、2021年1月現在、海没して島が見えなくなっています。(西之島はまだあります)