スリランカ「破産」(デフォルト)
2022年7月5日、スリランカのウィクラマシンハ首相は議会で演説し、国の「破産」を宣言した。
国家のトップが自ら破産を宣言するのは珍しい。
1948年にスリランカが独立して以来、5月には初のデフォルト(債務不履行)が発生し、経済危機に扮していた。
<注釈> デフォルトとは債券の利息や額面金額が約束通りに支払われない。簡単にいうと、国が各国や投資家から借金していたが、外貨が無くなり返済できない事態が発生したと言う事。
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例えば、ギリシャも、2015年に、返済期限を迎えた約2200億円の国際通貨基金への負債を返済できず、デフォルト認定となっている。
レバノン政府も2020年に12億ドルの国債と、同年に返済期限を迎える46億ドルの支払い延期を発表してデフォルト。
かつて先進国であったアルゼンチンも、2020年に9回目のデフォルト。
スリランカの場合には、新型コロナ以前から、無謀なインフラ整備を続けて債務を膨らませてきたのが原因だ。
中国がお金を貸した一番の国家となる。
2020年1月からは、コロナ危機で外貨を稼ぎ出す観光業が大打撃を受けた。
更に、ウクライナ戦争で、燃料・飼料・肥料不足による食料品価格の上昇、インフレ高進が低所得者・貧困層の生活を直撃した。
スリランカ国内のインフレ率は2022年7月時点で約50%とされる。
イランとは原油の輸入代金約290億円を、スリランカ特産の紅茶で支払うことで合意している。
例えば、ガソリンを給油したくても、国外から石油を購入できないため、燃料が極度に不足。タクシー・バスなどは動かない。
給油所に自動車で並んでも入荷予定は2週間後と言う話もあり、数日間列に並んでいた60歳の男性が車内で死亡していた事例もある。
スリランカも日本と同じく、エネルギーは輸入に頼っている。
しかし、輸入代金の支払いに必要な外貨が尽き、ガソリンや軽油、灯油に加え、火力発電用の燃料も購入できず、長時間にわたり停電。
ガスも供給が滞り、使えても高額なので国民は「マキ」で調理を行っているため、まき販売業社は儲かっているらしい。
しかし、まきの値段も2倍になった。
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中国によって経済的な自立性を失われたスリランカは、まさに罠にはまったと言えるだろう。
中国の融資にてスリランカは重要港「ハンバントタ港」を建設するも、返済できず、中国は99年間にわたり中国国有企業が港を独占使用できる権利も得た。
返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなる「債務の罠」の典型例となっている。
中国政府は「可能な範囲でスリランカの経済・社会発展を援助しており、今後もそうだ」と協調しているが、2022年の年末にはインフレ率が60%に達する見通し。
来年2023年も、インフレが続くと言う。
日本も2023年1月頃には停電が見込まれ、もは先進国とは言えない。