緊急事態宣言とは「新型コロナ特措法」 都市封鎖ではない わかりやすく解説

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緊急事態宣言(きんきゅうじたいせんげん)とは、新型コロナウイルス対策の特別措置法(新型コロナ特措法)に基づき、内閣総理大臣が発令するものです。
もともと、2012年に成立した新型インフルエンザ等特措法を2020年3月に改正し、新型コロナウイルスでも適用できるようにしました。
「緊急事態宣言」は、対象となる感染症の流行状況が、一定の条件を満たしたと判断された場合に、首相が発することになっています。

発令する場合には、特措法32条により、条件が下記のように定められています。

・国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れがある場合
・全国的かつ急速なまん延により、国民生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある場合

実際に総理大臣が「緊急事態宣言」を出す場合には下記の3つを国民に示すことになっています。

(1)実施する「期間」
(2)実施する「区域」
(3)「緊急事態」の概要

期間は「2年以内」と定められていて、「1年を超えない」範囲で延長することができます。
区域は原則、都道府県単位で指定されますが、感染状況によっては隣接県や日本全域の指定もあり得るといいます。

なお、期間や区域は、流行状況(感染地域の状況)に応じて、適時変更される可能性が高いです。
また、緊急事態の必要なくなった場合は、速やかに緊急事態「解除宣言」となります。




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緊急事態制限が出されると、都道府県の知事は「まん延の防止に関する措置」として、区域の住民に、定められた期間、行動を制限するよう要請できます。
<注釈> 国は、前述のとおり、期間・区域(何県など)・概要(方針など)を示すにすぎません。

例えば、学校・保育所・介護老人保健施設などや、劇場、映画館、演芸場、百貨店、スーパーマーケット、ホテル、旅館、体育館、水泳場、ボーリング場、博物館、美術館、図書館、キャバレー、ナイトクラブ、パチンコ店、スポーツジム、ダンスホール、理髪店、美容室、質屋、貸衣装屋、自動車教習所、学習塾、娯楽施設などに、利用の制限を「要請する」ことが可能です。
国が指針・方針を示す場合がありますが、実際に対象にする施設、内容などは、各都道府県の知事が決定しますので、県によって、対応内容が異なるケースも出てきます。
要請に従わない場合には「指示」することができます。

ただし、百貨店やスーパーマーケットについては、食品や医薬品、衛生用品、燃料など医療や生活必需品の売場は対象外でして、営業することができます。

このように、会社・職場が休業しない限りは、いつものように出勤することはできますし、仕事がなんでも休みになると言う事ではありません。

また、運送事業者である指定公共機関などに対し、必要な医薬品や緊急物資の運送を要請することができます。
正当な理由がなく要請に応じないときは、指示することができることになっています。

その他、臨時の医療施設を建設する際、土地などを強制使用できるほか、医薬品などの売り渡し要請に企業などが応じない場合には、強制収用できます。

なお、住民の外出については「自粛を要請する」ことができるだけになっていて、制限はできません

さて、緊急事態宣言が出された場合ですが「ロックダウン」(都市封鎖)には当たりません。
特措法には、強制的に外出を禁じる規定はなく、鉄道やバスなどの公共交通機関の運行をとめて、封鎖する規定もありません。
そのため、近い将来的には、この特措法に従わない場合の、罰則規定を設けようと言う、特措法改正の話も出ています。




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日本では、このように、あまり強制力がない法律になっているのは、かつてのヒトラーのように独裁者による国家にならないためと言う事もあります。

ヒトラーが首相に就任した時点では、国会で第1党(与党)を率いていた訳ではなく。ナチスは少数の政党でした。
しかし「緊急令」を出すと、集会・デモや言論を統制して、野党の選挙を妨害して、ナチス党を与党にし、国家防衛を口実に国民の基本権(基本的人権)を停止ました。
このように、緊急事態の宣言は、正しい運用がされないと、大変な危険性があります。

例えば、日本でも憲法や法律を、政権の都合で解釈して、自衛隊は違憲ではないなどと、する場合がありますよね。
もし、特措法が、国民に対して強力な制限ができるような法律ですと、法律の解釈によっては、政権の都合で、いいように使われてしまうことがあるので、あまり強制力を持たせるのは、キケンとも言えるのです。

ヒトラーは首相であり、もっと権限がある大統領が別にいましたが、国会も大統領も通さずに、政府が自由に法律を制定できる授権法(全権委任法)も制定し、戦争へと進んでいったのです。




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このように、政府に強力な権限を与えてしまうと、独裁国家になってしまう可能性が含まれてしまいます。
そのため、国民の行動に対して「要請」が出た場合には、その要請に協力する姿勢を見せて、新たに強力な法律ができないようにすると言う事も、国民には求められるところです。

いつも接触していた人の人数を80%減らしましょう。
今まで職場で話をしたり、レジで買い物したり、ご近所で話をしたり、ゲートボールをしていた場合の合計人数が20名だったら、4人まで減らしましょうと言う事です。
また、買い物などの必要な外出で、人に接する場合(レジでお金を払うなど)は、1日1回までにしましょうと、指針が出ています。

最近の研究では、手にウイルスが付くよりも、飛沫による感染の方が、感染リスクが高いこともわかっています。
「くしゃみ」などのエチケット、マスク装着などに、充分注意して行くことが、各自に求められる対策と言えるでしょう。

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