タリバーンが1分でわかる解説~アフガニスタンのタリバン・ターリバーンは、そもそも?

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タリバーンとは

タリバーン(英語: Taliban)は、日本語で、ターリバーン、タリバンとも言うが、言葉の意味として「学生」または「求道者」の意となる。
そのタリバンを称する団体は、自ら「アフガニスタン・イスラム首長国」(IEA)と名乗っている。
色々と複雑な絡みや背景もあるため、短い文章にまとめるのは、難しいが、できる限り、簡潔に説明してみたいと思う。




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かつては、イギリス帝国とロシア帝国がアフガンを争い、アフガニスタンは共和国であったが、1978年、人民民主党のクーデター(サウル革命)によって、社会主義政権(アフガニスタン民主共和国)が成立。
1979年から、ソ連が軍事侵攻し、カルマル政権となった。
1989年、駐留ソ連軍は撤退完了するも、パシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人などの派間の主導権争いにより内戦状態が継続。
イスラム主義を唱え、戦争(反乱・ジハード)・テロを行い、長く続いていたアフガン内戦に終止符をうつとして「タリバーン」が突然現れ、南部から勢力を伸ばした。
タリバンは、パキスタン北西部に逃れたパシュトゥーン人難民のうち、イスラム神学を学んだ学生がタリバン構成員の中心。
資金源は、麻薬・違法採掘、外国(パキスタンが筆頭)からの寄付(外国の個人からも寄付)、市民からの税収などだが、半分以上はヘロインなど麻薬だとされる。
タリバンが直接、麻薬を取引すると言う事ではなく、麻薬生産者などより多額の寄付を受け、麻薬取引を黙認している模様。
タリバンは、豊富な資金にて、1994年にアフガニスタンに侵攻開始すると、1996年には国土の9割を支配するに至った。

タリバンは、アフガニスタン・イスラム首長国を設立し、首都をカンダハールに置いたほか、共産党政権だったナジブラを処刑した。
女性にはヒジャーブ(顔をかくす着衣)の着用を義務づけ、女性が教育を受けることの禁止、人々が音楽を楽しむことなどを禁じる、強制的に若い女性を戦闘員の妻にするなど、主に女性の権利を奪う圧政を敷いている。

かつては、ムハンマド・オマルが指導し、2001年アメリカ同時多発テロ事件の首謀者ウサマ・ビンラーディンや他のアルカイーダを支援していた。
そのため、1ヶ月後、ブッシュ大統領はテロとの戦いを宣言し、アメリカはアフガニスタンを攻撃開始。
アフガニスタン紛争となり、タリバンの主力部隊は壊滅し、アフガニスタンでは、民主化を進るる政権に代わった。
2014年に、主要な戦闘が終了し、2016年以降のタリバン指導者は、ハイバトゥラー・アクンザダである。
以後、タリバンの方針も少し変化があり、例えば、選挙など民主主義には反対の立場だが、女性の教育や社会進出を認める方向となっている。




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2020年2月29日、アメリカとタリバンは、条件付の和平協定に署名したが、徐々にタリバンの攻勢が続き、2021年2月、アメリカ合衆国や北大西洋条約機構(NATO)は、協定が守られていないと、撤退の期限を延長。
首都カブール陥落の危機を感じた、アフガニスタン政府も、アメリカだけでなく、国連、ロシア、中国、インドなどに協力を要請。
その反面、撤退じたいは進められており、2021年3月頃より、各国の駐留軍が撤退開始すると、中国との協力を深めたタリバンは息を吹き返し、アフガニスタン各地で本格的な攻撃を開始。(タリバンの主要兵力は6万人)
政府側の治安部隊は、援軍なし給料なしであり、脱走したり、戦わず周辺国へ逃走した。
政府軍が残したアメリカ製の多くの武器・装備を得たタリバンは、2021年8月15日、事実上、無血で首都カブールを占領。
<注釈> 汚職が横行し、政府軍では兵士の給与を横領する司令官などもおり。政府は実際の兵が何人いるのかも正確に把握できていない。
ガニ大統領は隣国タジキスタンに逃れ、ターリバーンは、アフガニスタン全土を支配下に置いたと宣言した。
首都カブールの国際空港周辺を確保している約5000人のアメリカ軍の完全撤退は、民間のアメリカ人が帰国したら撤収予定で、遅くとも2021年8月末の予定として、進められている。
他にアフガン政府が支配を保っているのは、アメリカ軍がいるカブール空港と、いくつかの警察署だけとなった。
なお、空港には、国外に逃げたいアフガニスタンの人々も殺到している。

20年ぶりに政権政権復帰が現実味を帯びているタリバンと、ロシアはは、良好な関係にあるため、ロシア大使館の職員は、そのままアフガンに残る予定。

なお「国家」と言えるように何は、世界各国が、タリバン政権の国を「国家」だと、認めるかどうか?だ。
日本でも幕末に、薩長などの新政府軍が、鳥羽伏見の戦いで、江戸幕府に勝利したが、当初、アメリカなどの諸国は、新政府を「国家」とは、認めなかった。
旧幕府軍を率いて、函館に「蝦夷共和国」を築いた榎本武揚も、政府として認めてもらうよう、諸外国と交渉した。
このように、新しい政府が、外国から、認めてもらえるかが、勝負になる。

2019年には、医師の中村哲さんが何者かに襲撃されて死去している。
アフガニスタンの人口は約3900万人、面積は日本の約1.7倍だが、75%は山岳地帯。(日本は約70%が山岳地帯)




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以上、出来る限り簡潔にまとめましたが、戦争は、とてもお金がかかります。
タリバンは、あらゆる手を使い、軍資金をかき集めているように感じます。
資金力が高いほうが、有利に戦えるのは、当たり前のことですが、それが、よくわかっているようです。
また、タリバンは、各都市を占領して行くことで、アフガン政府の資金源(税収源)を絶ち、いわば、兵糧攻めのような戦略にて、最後に首都をラクラク落としましたが、そのスピードも速いです。
作戦にも優れている(戦略のプロがいる)ように感じます。
アメリカが、これまで数千人の兵士を犠牲にし、約10兆円使った、アフガニスタン政策は、成果を残せませんでした。

タリバーン政治部門トップの幹部・バラダル氏は「このような形での勝利は想定外だった」「国の安全と幸福を実現できるか、我々は試されることになる」と語っている。
一方、国外に逃走したガニ大統領は「流血の惨事を避けるために出国した」と説明している。

アフガンの人々は、腐敗・汚職の政府を信用しておらず、タリバンを支持する者も多い。

地域は違いますが、カリブ海の島の「独裁者」になると言うシュミレーション・ゲーム「トロピコ」シリーズ(日本語対応)にあるような世界観が、現実となっているようです。

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