楽天市場 送料無料化問題 何が楽天に求められているのか?

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楽天の三木谷浩史会長兼社長は・・・
(この施策を)やらなければこれ以上の成長は難しい。前向きに捉えていただき一緒に成長していきたい。なにがなんでも成功させたい」
と説明しています。

三木谷会長兼社長が、楽天の送料を無料にしたいという方針は、ECの経営者の発想として、一定の理解はできます。
一番の強敵とも言えるAmazonさんの多くの商品は、送料無料ですのでね。
一部の業者の反発を受けても、方針に変わりないという事は、それだけ、危機感をお持ちになっておられると存じます。
内部事情として売上や利益率などの問題が出ていることとお察しいたしますが、私が同じ経営者でしたら、同じように送料無料化にしたいと判断すると思います。
それで、はじめて、アマゾンさんと勝負できる土台になる訳ですのでね。
手をこまねいていては、送料無料が多いからアマゾンで購入して、楽天は使わないと言う傾向に歯止めが効かなくなる可能性があります。

ただし、無料化する場合、運送業者に支払う送料じたいが「タダ」になる訳ではありませんので、誰かが負担しなくてはなりません。
それが、楽天側なのか、楽天に出展している業者側なのか?、それとも今までの主流どおり購入する消費者側なのか?

三木谷会長兼社長が判断したのは、3980円以上の商品は、業者が送料を負担でした。
この3980円と言う設定が問題なのかなと感じております。

私の場合、昔は、ほとんど楽天市場さんを利用して、たくさん購入させて頂いておりました。
しかし、今では、アマゾンさんの利用の方が多い状態です。
その理由としては、こまごまとしたものは、アマゾンの方が安いのと、配送が安定している(きちんと届く)からです。
送料を含めた支払合計の安さで、アマゾンのほうが安い場合が多いという事ですね。

全部が全部ではありませんが、もともと、楽天は、業者が入っていて、業者が価格設定して、業者からお客様に発送する「ショッピングモール」と言う設計が主体です。
ひとつの商品を楽天で検索すると、業者別に価格設定したものが、ずらっと表示されるような仕組みですね。
しかし、アマゾンの場合には、業者がAmazonに納品して、送料負担も加味して価格設定を行い、商品発送もアマゾンが代行する仕組みです。
極端な話、業者は、アマゾンに商品を預けてあとは代行してもらうと言う仕組みが主流です。
送料は、アマゾンに委託した手数料に加味されているため、業者は送料を実質負担しています。
なお、商品の中身はかわりませんので、安く設定した業者の在庫から売れていくような感じですので、結果的に安く買えることが多いです。
また、アマゾンの倉庫で業者から預かった商品を一括管理しているため、発送の時点で、複数商品など「まとめ」て発送対応できるのが強みで、そこで1個あたりの配送料を節約できます。
もちろん、売れ筋の商品は、アマゾンが独自に仕入れて販売していたりします。
ここも、楽天と異なる点です。
そのため、送料統一や無料と言っても、楽天の場合、業者に求めるのは難しい部分があります。
でも、独占禁止法に違反する/しない、関係なく、それを、今、はじめないと、将来、楽天は衰退してしまうと言う危機感を楽天が持っているという事です。

楽天の提案では、送料無料ラインを3980円以上にする施策となりますが、もちろん除外があります。

除外されるのは、下記の4項目です。
酒類
大型宅配便やクール便・国際配送
沖縄や離島など宛ての配送は1商品9800円以上
沖縄や離島などが出荷地の店舗

競合もあり、薄利多売で頑張っている業者さんは、3980円の商品で、送料600円~1000円くらいの負担を強いられると、経営的にはかなり厳しくなるでしょう。
価格に配送料を転嫁することはできますが、そうなりますと、普通にアマゾンで買ったほうが、どんどん安く買えてしまう可能性も出てきますので、商品によっては、楽天では売れなくなる恐れも出てきます。

そして、Amazonと決定的に異なるのは、3980円以上でも、大型商品は、送料無料にならないという事です。
アマゾンは、大きな箱で運送されてきても、送料無料(送料込)のケースが多いので、大きな商品で引き続き楽天は負けてしまう恐れが生じます。

沖縄・離島への送料に関しても同様です。
アマゾンの通常利用の場合、ご注文金額の合計が2000円未満の場合、本州の送料は410円で統一されています。
離島・沖縄はもちろん高いのですが、高いといっても40円差の450円でして、そのくらいの負担であれば、沖縄の方も安心して買い物できるでしょう。
もちろん、大型商品でも、送料の差額は40円差です。
しかも、アマゾンの場合、商品を倉庫に集めているので、定期おトク便だと、まとめて、もっと安く買えます。
楽天の場合、独自の倉庫はありますが、ごく一部の商品だけ集まっている感じで、大半の業者は独自に築いた物流網(業者ごとの倉庫、業者が契約した運送会社で発送)になっていますので、そのシステムがそもそも異なります。

Amazonと同じような仕組みなのは、アスクルなどですが、アスクルは事務用品など会社向け商品になっており、楽天はその倉庫・物流の部分、これまで投資せずに来ましたので、アマゾンのように独自の運送システムも、持っていないと言えます。
Rakuten EXPRESSと言う物流を開始していますが、配送される商品は、Rakuten24など、楽天の直営商品(日用品)に限られているようで、拡大できていません。

このように、楽天は、もうAmazonに負けていると考えている訳です。
なお、南米最大級のECモール「MercadoLibre」は、送料無料方針にしたところ、利用者が3割くらい戻ったと言う経緯もありますので、同じ対応を取ると言う事ですので、繰り返しますが、三木谷さんの判断は間違っていません。
Rakuten EXPRESSにも、総額で2000億円超の投資を行う予定になっています。

そんなおり、私事ですが、プリンターが故障したので、今回は、楽天に入っている大手家電店さんに注文しました。
Amazonと楽天では同額だったのと、楽天では翌日には届く「あす楽」になっており、次の日に届けば、なんとか仕事上、支障がないだろうとの判断で、楽天から注文した次第です。
ところが、一番重視した、翌日に商品が届きませんでした。
平日の火曜日午前中に注文して、翌日は水曜日ですので、土日祝など業者の休みが絡んだわけでもありません。
翌日に届いたら、このように作業してと、考えていた訳ですが、届かないとなると、もう、ガッカリな訳ですよ。
約束された翌日に届かないので、当然、予定していた仕事ができなくなってしまい、損害も出ている訳でして・・。
あす楽で届かない場合、金額の5%がポイントで保証されますが、それも、わざわざ申請しないといけないですし、余計に手間もかかります。
となると、配送が販売業者任せで、ある楽でも翌日に届かないのであれば、土日関係なく、翌日には届くAmazonを利用してしまいます。
絶対に翌日に欲しいという商品は、楽天が安くても、アマゾンで注文する場合も多々あるのが、私の現実なのです。

このように「安定」(安心)を、まず第一に整備する必要が楽天にはあります。
その次に販売価格ですね。
簡単に比較できてしまいますので、楽天よりAmazonのほうが安かったら、アマゾンで頼むのは当たり前です。
ちゃんと、送料も加味して消費者は判断します。
そのため、送料無料を計画しているのは、支持できますが、結果的には、支払いの合計額と言う事です。
送料を無料にしたけど、商品価格は、以前、アマゾンのほうが安いという場合には、わざわざ楽天で買いません。

よって、楽天が取る道と言うのは、やはり「価格」だと強く感じます。
Amazonより、配送に日数が掛かるけど、その分、楽天のほうが安いよと言う感じになれば、アマゾンに対抗できるのではと存じます。
そこを「スピードも」と速いという事も売りにできれば、ベストですが、上記のように安定しないのであれば、私のように、高くても、アマゾンで買ってしまいます。
送料無料の方針は良いのですが、コンサルタントの立場から申し上げれば、他にも改革するべきところは、たくさんあると言うのが、今の楽天の現状かと存じます。